企業会計講座

退職給付会計の基礎講座

2008.11

第7回 退職給付引当金の計算

1.退職給付会計の手順

ステップ1: 退職給付債務を見積もります(第3回第4回)。
ステップ2: 年金資産の時価を把握します(第5回)。
ステップ3: 退職給付費用を算定します(第6回)。

ステップ4: 退職給付引当金を算定します。



2.退職給付引当金の計算

貸借対照表に負債として計上される、退職給付引当金は以下の図のように、(1)退職給付債務に(2)〜(5)の要素を考慮して計算されます。

退職給付引当金 = (5)−(6)


退職給付債務と退職給付引当金の関係図


3.退職給付引当金がマイナスとなるケース

(1)退職給付引当金がマイナスとなる原因

退職給付引当金の計算上、年金資産(6)が未認識債務を除く退職給付債務(5)を超過することがあります。年金資産が超過する原因には、以下の3つが考えられます。

<1>

会計上の退職給付費用を超えて財政計算による掛金を拠出したことによって発生するケース

<2>

実際運用収益が期待運用収益を超過して利益方向の数理計算上の差異が発生するケース

<3>

年金制度の給付水準の引き下げにより退職給付債務が減少して利益方向に過去勤務債務が発生するケース


(2)会計処理

<1>のケース

<1>のケース

このケースでは積立超過額は前払年金費用として資産計上し、退職給付費用のマイナスとはしません。

<2>及び<3>のケース

<2>及び<3>のケース

このケースは掛金の拠出にかかわらず生じた、いわゆるペンションベネフィットのケースです。このような場合、今までの退職給付会計基準注解では、(注1)1により、年金資産が退職給付債務を上回ることによる超過額は、将来の退職給付費用の減少につながることがあるにしても、一般的に年金資産の払い戻しや自由な処分は制限されていることから、実際に超過額の払い戻しが行われない限り、これを資産又は利益として認識してはならないとされていました。

しかし、平成17年3月16日公表の『企業会計基準第3号「退職給付に係る会計基準」の一部改正』において、「退職給付に係る会計基準注解」(注1)1の「当該超過額を資産及び利益として認識してはならない」との定めは適用しないこととなりました。そのため、実際運用収益が期待運用収益を超過したこと等による数理計算上の差異の発生又は給付水準を引き下げたことによる過去勤務債務の発生により、年金資産が企業年金制度に係る退職給付債務を超えることとなった場合にも、当該数理計算上の差異又は過去勤務債務は、企業の採用する処理年数及び処理方法に従い、費用の減額として処理することとなります。

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