企業会計講座

退職給付会計の基礎講座

2008.11

第6回 退職給付費用の計算

1.退職給付会計の手順

ステップ1: 退職給付債務を見積もります(第3回第4回)。
ステップ2: 年金資産の時価を把握します(第5回)。

ステップ3: 退職給付費用を算定します。



2.退職給付費用の計算

退職給付費用の計算


3.退職給付費用の構成要素

(1)勤務費用

勤務費用とは一期間の労働の対価として発生したと認められる退職給付をいい、割引計算によって測定されます。

勤務費用=Σ(予想退職時期の退職給付見込額×当期の勤務年数(1年)÷退職時の勤務年数×割引率)


(2)利息費用

利息費用とは割引計算により算定された期首時点における退職給付債務について、期末までの時の経過により発生する計算上の利息をいいます。

利息費用=期首退職給付債務×割引率


(3)期待運用収益

期待運用収益とは企業年金制度における年金資産の運用から生じると期待される収益で、退職給付費用の計算において控除される額をいいます。

期待運用収益=期首年金資産額×期待運用収益率


(4)償却費用の内訳

1.過去勤務債務の償却費用

過去勤務債務の償却費用とは退職給付の給付水準の改定等により従前の給付水準に基づく計算との差異として発生する過去勤務債務のうち、費用として処理した額をいいます。

過去勤務債務の費用処理額=過去勤務債務の発生額÷平均残存勤務期間以内の一定年数



過去勤務債務発生、減少のイメージ


2.数理計算上の差異の費用処理額

数理計算上の差異とは、年金資産の期待運用収益と実際運用成果との差異、退職給付債務の数理計算に用いた見積数値と実績値との乖離及び見積数値の変更等により発生した差異をいいます。

数理計算上の差異は、過去勤務債務と同様平均残存勤務期間以内の一定の年数で按分した額を毎期費用処理する必要があります。

費用処理されていないものを未認識数理計算上の差異といいます。

数理計算上の差異の費用処理額=数理計算上の差異発生額÷平均残存勤務期間内の一定年数



数理計算上の差異発生のイメージ

3.会計基準変更時差異の償却費用

会計基準変更時差異とは、退職給付会計基準の適用初年度の期首における、「退職給付会計基準による未積立退職給付債務」の金額と「従来の会計基準により計上された退職給与引当金等」の金額との差額をいいます。この場合における「退職給付会計基準による未積立退職給付債務」とは退職給付債務から年金資産の公正な評価額を控除した額を意味し、「従来の会計基準により計上された退職給与引当金等」とは、退職一時金及び年金制度に関する従来の会計処理の結果として適用初年度の前年度末において事業主の貸借対照表に計上されている残高をいいます。したがって、会計基準変更時差異は、「退職給付会計基準による未積立退職給付債務」と「従来の会計基準による退職給与引当金等」との差額であり、今後費用処理又は費用の減額処理をしなければならない金額を意味します。

実務指針によれば、会計基準変更時差異は、15年以内の一定の年数にわたり定額法により費用処理します。これは会計基準変更時差異を一時に費用処理すると、企業の経営成績に大きな影響を与えかねないための配慮です。なお、一定の年数にわたる費用処理には、適用初年度に一括して費用処理する方法も含まれます。

会計基準変更時差異の償却費用=会計基準変更時差異÷一定年数


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