企業会計講座

退職給付会計の基礎講座

2008.11

第3回 退職給付債務の算定方法

1.退職給付債務とは

退職給付債務とは、一定期間にわたり労働を提供したこと等の事由に基づいて、退職以後に従業員に支給される給付のうち認識時点までに発生していると認められるものをいい、割引計算により算定されます。


2.退職給付債務の計算

退職給付債務は、退職時に見込まれる退職給付の総額(「退職給付見込額」)のうち、期末までに発生していると認められる額を一定の割引率および予想される退職時から現在までの期間(「残存勤務期間」)に基づき割引いて計算します。


3.退職給付債務の計算手順

退職給付債務は以下の手順によって計算します。

(1) 退職給付見込額の計算

退職給付見込額は、予想退職時期ごとに、従業員に支給される一時金見込額および退職時点における年金現価の見込額に退職率および死亡率を加味して計算します。

退職給付見込額の計算において、退職事由(自己都合退職、会社都合退職等)や支給方法(一時金、年金)により給付率が異なる場合には、原則として、退職事由および支給方法の発生確率を加味して計算します。なお、期末時点において受給権を有していない従業員についても、退職給付見込額は発生しているため当該計算対象となります。

(2) 退職給付見込額のうち期末までに発生していると認められる額の計算

予想退職時期ごとの退職給付見込額のうち、期末までに発生していると認められる額を計算します。計算方法には以下の方法があります。

 

1.期間定額基準(原則法)

退職給付見込額を全勤務期間で除した額を各期の発生額とする方法

2.給与基準

退職給付見込額のうち、全勤務期間における給与総支給額に対する各期の給与額の割合に基づいた額を各期の発生額とする方法

3.支給倍率基準

退職給付見込額のうち、全勤務期間における支給倍率に対する各期の支給倍率の増加額の割合に基づいた額を各期の発生額とする方法

4.ポイント基準

退職給付見込額のうち、全勤務期間におけるポイントに対する各期のポイントの増加分の割合に基づいた額を各期の発生額とする方法

「1」の期間定額基準が原則的方法となりますが、「2」〜「4」の方法も各期の労働の対価が合理的に反映される場合は採用することができます。ただし、「3」の支給倍率基準は労働の対価性よりも勤続に対する報償的側面を反映していると考えられるため、一般的には適当でないと判断されます。

(3)退職給付債務の計算

予想退職時期ごとの退職給付見込額のうち期末までに発生していると認められる額を、一定の割引率を用いてそれぞれの残存勤務期間にわたって現在価値に割引きます。当該割引いた金額を合計して、退職給付債務とします。

退職給付債務の算定イメージ

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