
2006.12
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退職給付制度をめぐる内部統制とガバナンス
退職給付債務の積立不足が注目されてきた退職給付制度は、給付減額等による対処や株価回復等により積立状況が改善しています。ただ、これらの対処の多くは問題発生後の事後的対応であったと推測されます。コーポレート・ガバナンスの強化が求められるなか、企業は、このような事後的対応を繰り返さないよう、今までブラックボックスだった退職給付制度のガバナンスを強化する必要があるでしょう。また、日本版SOX法の施行を控え、退職給付制度の財務報告に係る内部統制の強化や外部委託先への統制強化に取り組むことも必要でしょう。
なお、本稿は、筆者が「証券アナリストジャーナル2006年4月号」に寄稿した論文「企業年金のガバナンスを考える」を元に執筆したものです。
I.企業年金問題を振り返って
わが国の企業年金にとって、最近の15年間は激変期でした。それまでは順調に制度が普及し、主として人事労務部門で管理運営されてきた企業年金ですが、バブル崩壊による資産運用の悪化、年金資産の時価評価の導入、そして退職給付会計の導入などを通じて企業財務にも大きなインパクトを与えるようになりました。
一方、こうした年金財政悪化を受けた産業界の要望もあって、当局は年金給付水準の引下げを認め、さらに代行返上や確定拠出年金など新たな選択肢を用意しました。企業はこれらの実施を通じて積立不足の圧縮に成功し、最近の株価の回復もあって最悪期を脱した感があります。
しかし一連の動きを振り返ると、企業の対応が後手に回った印象も否めません。確かに従来は企業年金に係る規制が厳しく、対処しにくかった面はありますが、人事労務部門や年金基金などに問題が任され、経営者が企業年金の管理運営に十分な注意を払っていなかったことも少なくなかったと思われます。こうした問題を再び起さないために、企業は退職給付制度のガバナンス強化に取り組む必要があると考えられます。
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