
2006.10
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金融商品取引法の成立について
本年6月に成立した金融商品取引法のうち、開示制度についての主要な改正点を中心に概要をまとめています。
I.はじめに
平成18年6月7日に「証券取引法等の一部を改正する法律」(証取法等改正法)および「証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」が成立し、6月14日に公布されました。これにより証券取引法は全面的に改正されて「金融商品取引法」(いわゆる投資サービス法)となり、株式・債券といった伝統的な有価証券に限られないさまざまな金融商品に包括的・横断的に適用される法制が整備されました。今回の改正は、利用者保護ルールの徹底と利用者利便の向上、貯蓄から投資に向けての市場機能の確保および金融・資本市場の国際化への対応を図ることが目的とされ、いわゆる投資サービス規制、開示制度、取引所制度の整備が行われ、罰金・課徴金が引き上げられました。同時に、銀行法、保険業法などの関係法律が改正され、利用者保護ルールについて、基本的に金融商品取引法と同様の規制が適用されるようになりました。
金融商品取引法の内容は、図表1の章立てにあるように多岐にわたっています。また、今回の改正は相当な分量となっていることから、本稿では、開示制度についての主要な改正点を中心にとりあげています。
なお、金融商品取引法の政令・府令については今後整備されることもあり、本稿では具体的数値等について参考として記載している箇所もあります。
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図表1■金融商品取引法の章立て
第1章 |
総則 |
第2章 |
企業内容等の開示 |
第2章の2 |
公開買付に関する開示 |
第2章の3 |
株券等の大量保有の状況に関する開示 |
第2章の4 |
開示用電子情報処理組織による手続の特例等 |
第3章 |
金融商品取引業者等 |
第3章の2 |
金融商品仲介業者 |
第4章 |
金融商品取引業協会 |
第4章の2 |
投資者保護基金 |
第5章 |
金融商品取引所 |
第5章の2 |
外国金融商品取引所 |
第5章の3 |
金融商品取引清算機関等 |
第5章の4 |
証券金融会社 |
第6章 |
有価証券の取引等に関する規制 |
第6章の2 |
課徴金 |
第7章 |
雑則 |
第8章 |
罰則 |
第9章 |
犯則事件の調査等 |
附則 |
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II.改正の主な内容
1.投資サービス規制の整備
投資性の強い金融商品を幅広く対象とする横断的な制度を整備するため、主に次の改正が行われています。
(1) |
金融商品取引法への改正 |
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金融商品取引法の目的は図表2に示されるとおりであり、今回の法改正では、現在の縦割業法を見直し、幅広い金融商品を対象とする法制を整備するため、金融先物取引法等(図表3)が廃止、証券取引法に統合されました。これに伴い、「証券取引法」の題名を金融商品取引法(いわゆる「投資サービス法」に改正するとともに、規制対象となる業者の法律上の名称(証券会社から金融商品取引業者へ)、協会の法律上の名称(証券業協会から金融商品取引業協会へ)、取引所の名称(証券取引所から金融商品取引所)等が変更されました。なお、「証券会社」「証券取引所」の名称は引き続き使用されます。
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図表2■金融商品取引法の目的
企業内容等の開示の制度を整備するとともに、金融商品取引業を行うものに関し必要な事項を定め、金融商品取引所の適切な運営を確保すること等により、有価証券の発行および金融商品の取引等を公正にし、有価証券の流通を円滑にするほか、資本市場の機能の十全な発揮による金融商品等の公正な価格形成等を図り、もって国民経済の健全な発展および投資者の保護に資することを目的とする(1条)。 |
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図表3■廃止される法律
- 外国証券業者に関する法律
- 有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律
- 抵当証券業の規制等に関する法律
- 金融先物取引法
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(2) |
有価証券の定義の整備 |
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1. |
集団投資スキーム |
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金融商品取引法では、投資性の強い金融商品・サービスに、すき間なく同等の規制を課す観点から、既存の利用者保護法制の対象となっていない「集団投資スキーム」(いわゆるファンド)に関する包括的な定義規定が設けられています。すなわち、組合契約、匿名組合契約、投資事業有限責任組合契約等にもとづく権利で、当該権利を有するものが出資または拠出をした金銭を充てて行う事業から生ずる権利の配当または当該出資対象事業に係る財産の分配を受けることができる権利(出資者全員が出資対象事業に関与する場合等を除く)(「集団投資スキーム持分」)、信託受益権および抵当証券等が、有価証券とされました(2条1、2項)。なお、いわゆる商品ファンドについては、現在は商品ファンド法(商品投資に係る事業の規制に関する法律)の規制対象ですが、組合型か信託型かを問わず、みなし有価証券として取り扱われ、金融商品取引法の対象となります(2条1項14号、2項1,5号)。
また、集団投資スキームに関連して、組合等による短期売買規制の見直しが行われています。すなわち、上場企業等の主要株主(総株主の議決権の10%以上保有)の短期売買規制(163,164条)について、現行では、組合について、個々の組合員が株主と解されているため、組合が全体として10%以上保有している場合であっても、個々の組合員の持分に応じた議決権が10%以上にならない限り、主要株主とならないところ、組合等(特定組合等)に関する特例規定が設けられ(165条の2)、特定組合等の財産に属する株式に係る議決権の割合が10%以上の場合、短期売買規制の対象とされることになりました。
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2. |
デリバティブ取引 |
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デリバティブ取引についても、現行の金融法制では有価証券デリバティブ取引および金融先物取引のみが対象となっていますが、デリバティブ取引を包括的に対象とする観点から、金融商品(有価証券、預金契約等にもとづく権利、通貨等)または金融指標(金融商品の価格または利率等、気象の観測の成果に係る数値等)にもとづく先物取引、指標先物取引、オプション取引、指標オプション取引、スワップ取引およびクレジット・デリバティブ取引等がデリバティブ取引とされました(2条20〜25項)。さらに、新たなデリバティブ取引の出現に対して機動的に対応する観点から、取引類型(2条21項6号,22項7号)、原資産(24項4号)および参照指標(25項3号)について、政令で追加できる規定が設けられました。
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