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![]() 日本における内部統制制度の現状(1) V.業務プロセスに係る内部統制整備状況の文書化と評価 業務プロセスの有効性の判定は、大きく「内部統制の整備状況の有効性」と
「内部統制の運用状況の有効性」の評価に分けることができます。まず現状の
業務手続の中の内部統制手続を把握し有効性を評価します。有効と判断でき
た場合に、その内部統制手続が有効に運用されているかをチェックすることに
なります。 「内部統制の整備状況の有効性」の判定は、まず業務プロセスごとの内部統
制の現状把握を行うことから始まります。そのためには対象となる業務プロセ
スを選定しなければなりません。企業が公表する財務データは、さまざまな業
務プロセスの結果から生じた経理数値によって作成されています。販売プロセ
スから生じた数値が売上や売掛債権の財務数値として財務報告プロセスにお
いて集計・連結され外部に報告されます(図表7)。各業務プロセスは、販売プ
ロセスを例にとれば、図表7のようにさらに受注から債権回収や値引・返品処
理といったいくつかのサブプロセスによって構成されています。さらにそれぞ
れのサブプロセスがいくつかの業務処理に分解されます。図表8には、入金の
サブプロセスがさらにいくつかのサブ業務プロセスに分解されていることをイ
メージとして示しています。業務プロセスの文書化は、業務の流れの細分化さ
れたサブ業務プロセスで行われるため、図表8では入金/記帳業務における
文書化が行われることを示しています。このレベルでフローチャートの作成や
業務の文書化を行い、コントロール・マトリックス表(内容は後述)においてある
べき内部統制手続と現状の業務での内部統制手続を比較評価し、ここで内部
統制の整備状況の評価を行います。よく、文書化によって企業に非常に大きな
負荷が生じると言われるのは、こうした作業によって作成される文書量が、連
結ベースで事業拠点、事業単位ごとに実施されるため膨大な量になってしまう
からです。図表9のように、事業拠点および事業単位が10拠点の場合で主要な
業務プロセスが11あり、それぞれの業務プロセスが9のサブ業務プロセスがあ
り、そのそれぞれに対して文書化を10枚ずつ実施すると、それだけで9,900枚の
文書が必要になります。こうした文書数は、事業拠点や事業単位、主要な業務
プロセスおよびサブ業務プロセスが増加すれば、さらに増えることになります。 図表7■ 業務プロセス統制
図表8■ 業務プロセスの文書化
図表9■ 作成する文書量の掛け算イメージ
文書化のためには当然、サブプロセスごとにどんな内部統制上のリスクがあ
るかをあらかじめ検討し、米国のCOSOの内部統制手続の参考例等を用いて、
現状の内部統制の整備状況を把握するために質問事項を作成しておく必要が
あります。図表10には、販売プロセスのサブ業務プロセスの「受注」に焦点を
当てた内部統制に関する質問事項の例を示しています。こうした質問事項にも
とづいて、現状の業務プロセスにおいてインタビューや自己点検によって内部
統制を洗い出していくのです。こうした質問や自己点検においては、販売プロ
セスにおいてどのような不正財務報告のリスクがあるかをあらかじめ考えてお
く必要があります。図表11には一般的な販売プロセスに係る不正財務報告の
リスクを参考に示しています。 図表10■ 「業務プロセスに係る内部統制」の質問例
図表11■ 不正財務報告リスクの考察の例示
こうした手続を実施した結果例として、図表12および図表13に示したような
受注に関する統制活動およびフローチャートの記述が行われます。統制活動の
状況が把握された後で、内部統制がリスクに対応して十分に機能しているかど
うかを図表14にあるコントロール・マトリックス表によって検証します。図表14
に示されたアサーションは、内部統制のチェックポイントともいえるもので、実
在性、網羅性、権利と義務、評価と配分、表示・開示のそれぞれのポイントか
ら内部統制の有効性を判定します。ここで注意しなければならないのは、文書
化が終了したら作業が終わりというわけではなく、ある程度文書化された手続
が実際に行われていることを検証する手続が必要とされることです。文書化さ
れた手続が実際にはそのとおりに業務に適用されていなかったりすることは
往々にしてあり、ひととおり業務の流れをなぞって確認するような手続が通常は
必要とされます。結果として統制手続が有効かどうかという評価のために、
図表15に示したような内部統制の整備状況の有効性の評価を行います。 図表12■ コントロールの記述の例示
図表13■ 業務フローチャートの例示
図表14■ コントロールマトリックスの例示
図表15■ プロセス統制の評価−統制デザインの評価
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