企業経営に関するトピック解説

2005.06
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キャッシュバランスプラン〜新しいタイプの企業年金〜


平成14年4月から、確定給付型と確定拠出型の中間的な特徴を持つ「キャッシュバランスプラン」が企業年金制度として導入可能になりました。この制度は、退職給付債務の金利変動リスクを軽減する効果が期待され、採用が進みつつあります。

本稿では、このキャッシュバランスプランの特徴と制度導入時の留意点等について、解説します。

本稿のポイント

キャッシュバランスプランは、確定拠出年金(日本版401k)と並ぶ新しい退職給付制度の形態であり、採用が進みつつあります。

市場金利の変動に応じて給付額が変動するため、退職給付債務の金利変動リスクを軽減することが期待できる制度ですが、年金資産運用は引き続き会社が行う義務があり、資産運用リスクは会社に残ります。

退職給付費用の変動リスクはある程度残るものの、確定拠出年金よりは従来の制度に近い特徴があるため、従業員給付の激変を避ける選択肢の1つといえます。

既存制度からの移行に際しては、既得権・期待権保護の観点から多くの検討事項があります。

企業会計上は、確定給付型制度の1つとして退職給付会計の適用を受けます。なお、従来制度と異なる点として、将来の利息率を計算基礎率として仮定する必要があります。



I.キャッシュバランスプランとは

1.基本的なしくみ

キャッシュバランスプラン(以下、CBプランという)は、「ハイブリッド型」あるいは「混合型」とも呼ばれるように、確定給付制度と確定拠出制度の両方の特徴を有する制度の1つです。

CBプランは米国で普及してきた制度ですが、平成14年4月の確定給付企業年金法施行に伴い、わが国の厚生年金基金および確定給付企業年金にも導入が認められました。

図:CBプラン

図表1利息率の変動によるCBプランの給付額への影響(例)
ケース1
国債利回りが上昇するケース 給与月額の5%を給与クレジットとする場合

図表1 利息率の変動によるCBプランの給付額への影響(例) ケース1 国債利回りが上昇するケース 給与月額の5%を給与クレジットとする場合

ケース2
国債利回りが低下するケース 給与月額の5%を給与クレジットとする場合

図表1 利息率の変動によるCBプランの給付額への影響(例) ケース2 国債利回りが低下するケース 給与月額の5%を給与クレジットとする場合

CBプランの給付額は、毎年の給与の一定割合を累積してそれに利息(再評価率)を付す方式で計算されます。

この「再評価率」については、あらかじめ規約に定めた方式にもとづき、国債の利回り等に連動して見直すことができるため、金利が低下した時には給付額も低くなるという特徴があります。

たとえば、22歳入社の従業員について、入社時給与が15万円、毎年の昇給が1万円、拠出率を5%とし、利息率は国債の利回りに連動するものとして、当初の1.5%から0.2%ずつ上昇するケースと低下するケースを仮定すれば、CBプランの給付は図表1のように計算されます。

2.法律上の取扱い

CBプランは、厚生年金基金および確定給付企業年金の給付形態の1つと位置付けられていますので、両制度の法規制や税制が適用されることになり、設立に際しては所定の設計要件を満たして厚生労働省の認可を得ることが必要になります。

そして、従来の確定給付型の企業年金と同様、制度への拠出掛金が損金算入でき、従業員への給付に関しては、年金であれば公的年金等控除が、一時金であれば退職所得控除が適用されます。

なお、適格年金を実施している企業がCBプランを採用する場合、確定給付企業年金等に移行する必要がありますので、毎年の財政検証や積立不足の解消といった、適格年金よりも厳しい財政基準が適用されることになります。

3.普及状況

CBプランの採用がプレスリリースされている主な企業は、以下のとおりとなっています。大手電機メーカーでの導入が目立っています。

  • コクヨ株式会社
  • 株式会社中国銀行
  • 株式会社東芝
  • 日本たばこ産業株式会社
  • 日本電気株式会社
  • 松下電器産業株式会社
  • 三菱電機株式会社
    (五十音順)

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