企業経営に関するトピック解説

2005.04
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会計の2007年問題と

国際財務報告基準初度適用の実務上の留意点

国際財務報告基準(IFRS)は、EUにおいていよいよその適用が2005年度から始まり、米国基準とともにグローバルスタンダードの地位を築きつつあります。そのIFRSが日本企業に与える影響(会計の2007年問題)とIFRS初度適用の留意点について解説します。


I.会計の2007年問題

EUは2005年度から国際財務報告基準(International Financial ReportingStandards、以下IFRS)をEU域内の公開会社に適用することを開始しました。EUの資本市場に登録している外国企業は2年間の猶予を与えられ、母国基準がIFRSと同等性がなければ、2007年からIFRS適用を迫られることになります。日本企業は海外子会社の会計基準の統一も含めて、IFRSの適用についてどう対応するかを検討する時期にきています。

EUがIFRSの適用を開始したことで、日本でもいよいよ2007年問題が議論されるようになってきています。2007年問題とは、日本企業がIFRSによる財務諸表を作成しなければ、EU資本市場から締め出されるおそれがあるということです。すなわち、現在、日本企業は日本の会計基準にもとづいた英文財務諸表を、かかるマーケットに開示していますが、それが2007年から認められなくなる可能性があるということです。影響を受ける日本企業は約250社、資金調達額は約2兆円とも言われています。さらにIFRSへの国際的な流れは止められず、4年間の間に90ヶ国がIFRSを採用すると言われています。

日本の会計基準とIFRSに同等性があるかないかの判断は、欧州証券規制当局委員会(Committee of European Securities Regulators、以下CESR)が中心になって進められ、最終結論はEUによって2005年末までに出されることになっています。

CESRが2005年2月に公表した同等性評価にかかわる概念ペーパーによれば、同等性とは、同じ(identical)という意味で定義されるべきではなく、投資をするかまたは投資を売却するかという点において、第三国会計基準で作成された財務諸表でも、IAS/IFRSで作成されたものと類似の判断を投資家ができる場合に、その第三国会計基準がIAS/IFRSと同等であると考えられています。

また、同等でないとされた場合は、以下のようにその程度によって4つに分類され、それぞれの対応が必要となります(図表1参照)。

図表1■ 同等性の評価

1.

Restatement(修正再表示)――会計基準の差異が多くかつ重要であること

2.

Remedies(矯正措置)

(1)

Additional Disclosures(追加的開示)――差異が主に開示項目の場合

(2)

Statements of Reconciliation(調整計算書)――測定と認識の差異が比較的小さい場合

(3)

Supplementary Statements (補完的計算書)――測定と認識の差異が比較的大きい場合


したがって、CESRおよびEUの評価によって日本基準が上記のいずれかに該当することになった場合は、必要な対応を迫られることになります。

たとえ、日本基準に同等性が認められたとしても、現在、海外現地子会社は、現地会計の基準でも容認されていますが、いずれ海外子会社の会計基準を統一するということになった場合は、海外子会社についてはIFRSを適用する可能性が高いと言わざるを得ないでしょう。なぜなら、海外では、IFRSをサポートできるインフラが、日本よりもはるかに整備されているからです。今後の会計基準のグローバルな展開を考えると、日本企業はIFRSを避けて通ることができず、早い段階から調査と準備を心掛けることが望ましいのです。

このような2007年問題をにらみ、欧州で資金調達を行っている日本企業のなかには、前倒しでIFRSの全面適用を検討している企業も出てきますし、また、資金調達という目的のみならず、欧州企業との取引が多い企業の中では、自主的にIFRSに準拠した財務諸表を提示することで、欧州の取引先から、より大きな信頼性や信用を獲得しようとするところも出てきています。さらに、国際標準の会計基準を適用した財務諸表を積極的に公表することによって、IR上の効果をねらう日本企業も出てきています。グローバルに活動する企業にとって、世界での認知度が高くない日本基準での財務諸表の公表より、世界中の主要な国の投資家や取引先が認知可能なIFRSによる財務諸表の開示のほうが、自らの財務内容の透明性を外部に大きくアピールできる重要なツールとなると考えられます。

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