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2005.02
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ストック・オプション等に関する会計基準(案)の解説
平成16年12月28日に「ストック・オプション等に関する会計基準(案)」が公表されました。ストック・オプションを発行する会社に費用計上を求めるという、会計理論上も実務上も影響の大きい会計基準案となっています。本稿ではその基本的な考え方について解説します。
I.はじめに
平成16年12月28日に、「ストック・オプション等に関する会計基準(案)」が、企業会計基準委員会から公表されました。平成13年の商法改正で新株予約権の制度が整備されてからストック・オプションの発行が本格化しているなかで、この公開草案は、ストック・オプションを発行(付与)した会社の会計処理を規定するものとして、注目されています。企業会計基準委員会は、平成14年5月にストック・オプション等専門委員会を設置して、この会計基準の作成に取り組んできました。平成14年12月には論点整理が公表され、それを受けて広く意見を募集する公聴会が開催され、その後の企業会計基準委員会・専門委員会での審議を経て、公開草案に至ったものです。今後作成されるであろう適用指針で解決されるべき、より細かな、ただし実務上重要なテーマも残っており、適用年度も少し先の平成18年4月1日以降開始事業年度からとされています。現在、いわゆる会計基準の2007年問題に関連して、わが国の監督官庁・諸団体が、わが国の会計基準が全体として米国会計基準や国際財務報告基準と同等のものであることを主張している状況下で、ストック・オプションの会計基準がわが国に存在しないことがマイナスの要因となっているおそれもあり、この公開草案の公表により、わが国の会計基準がより整備されていく方向性が再認識されることが期待されます。
なお、ストック・オプションの会計基準としては、米国基準には平成16年12月に公表された財務会計基準審議会基準書(SFAS)第123号(改訂版)「株式に基づく報酬の会計処理」、国際財務報告基準(IFRS)にはIFRS第2号「株式報酬」があります。今回公表された公開草案は、ストック・オプションを付与した企業が「ストック・オプションの付与時点の公正価値に基づいて、費用を計上する」という点で、これらの基準書と類似したものとなっています。
本稿では、公開草案(以下、会計基準案)の基本的な考え方について解説します。なお、会計基準案では「ストック・オプション」と、それより広い定義をもつ「自社株式オプション」という用語を使い分けていますが、本稿では「ストック・オプション」で統一しています。
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II.ストック・オプションの特徴
会計基準案について述べる前に、企業が役員や従業員に付与するストック・オプションの特徴を整理してみます。典型的なストック・オプションは、付与対象者に対して、付与日後の一定期間内に自社の株式を一定の価格(行使価格)で取得する権利を与え、その株式の時価が行使価格を上回っている場合、付与対象者は、ストック・オプションを行使することで(権利行使)、企業に対して行使価格に相当する金額を払い込んでその株式を取得し、それを市場において時価で売却することにより、「株式の時価−行使価格」に相当する利益を得ることができる、というものです。ストック・オプションは付与対象者にインセンティブとして与えられることが多く、株価が上昇することでより大きな経済的利益を享受できることを期待させて、行使価格は付与日の株価よりも高く設定されるのが通常です。
留意すべき点として、ストック・オプションの権利行使があっても、企業は行使価格に相当する払込みを受けて新たな株式を発行するだけで、企業からは資金の流出が生じない、ということがあげられます。
図表1■ストック・オプションの典型例 |
付与されるストック・オプションの数量 |
1,000個。
ストック・オプションは、「個」と数えるとされています。 |
ストック・オプションが行使された場合に発行される株式数 |
1,000株 |
付与対象者 |
平成19年1月1日に在職する従業員 |
付与日 |
平成19年1月1日 |
付与日の株式の時価 |
500円 |
行使価格 |
800円 |
付与の対価 |
無償。
ストック・オプションの付与は通常無償で行われます。 |
権利確定条件 |
平成19年1月1日から平成20年12月31日までの2年間、継続して勤務すること(勤務条件)。
この2年間を「対象勤務期間」といいます。ストック・オプションには、その権利の確定につき条件が付されている場合があります。この例では、従業員が勤務を続けていれば、下記で説明するように、平成21年1月1日から権利行使が可能となります。他方、従業員が企業を退職すると、ストック・オプションは失効します。このように、一定の条件を満たせずに、ストック・オプションの権利が確定せず失効することを、「権利不確定による失効」といいます。なお、ストック・オプションの権利確定条件のその他の例として、平成20年12月期のA商品のマーケットシェア目標50%回復を達成する、といったものもあります。このような企業の業績に関係する条件を、業績条件といいます。 |
権利確定日 |
平成20年12月31日。
すべての権利確定条件が成就した日です。すべての権利確定条件が成就する時点が明確でない場合は、権利行使期間の前日が権利確定日となります。 |
権利行使期間 |
平成21年1月1日から平成22年12月31日までの2年間。
この間、従業員は、日々の株価と行使価格800円との上下関係を見ながらストック・オプションを行使するか否かを考えます。株価が行使価格を下回っていれば、市場で株式を購入するほうが安いのですから、当然にストック・オプションは権利行使されません。また、株価が行使価格を上回ったとしても、従業員は、株価がより高くなると考えれば権利行使しないのが普通です。この間の株価がどのように変動したとしても、権利行使されないまま、平成22年の終わりの段階で株価が低迷し平成22年12月31日時点で権利行使されていないストック・オプションがあれば、それは失効します。これを「権利不行使による失効」といいます。 |
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会計基準案をややわかりにくいと感じるとすれは、それは、ストック・オプションに以下のような特徴があるからではないかと思います。
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まず、ストック・オプション自体の価値が、付与日の後、日々変動します。すなわち、ストック・オプションの原資産(対象資産)である株式の時価が常に変動するのに応じて、ストック・オプション自体の価値も変動します。株式の時価とストック・オプション自体の価値とは別のものです。ストック・オプション自体の単位当たりの価値を、会計基準案では、ストック・オプションの「公正な評価単価」といっています。 |
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さらに、ストック・オプションの数量も、付与日の後、日々減少していきます。すなわち、勤務条件が付されているストック・オプションでは、従業員の退職など、権利確定条件が成就しないものから順次失効していき(権利不確定による失効)、権利確定日において、失効数量控除後の権利確定数が決まります。権利確定日後も、権利確定したストック・オプションの数量は、権利行使されれば当然に減少しますし、また、株価の低迷により、権利行使期間が終了した段階で権利行使されていないストック・オプションがあれば、それは最後に失効します(権利不行使による失効)。
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