企業経営に関するトピック解説

2003.02
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社債の大量償還で問われる企業財務の巧拙

企業は今、社債の大量償還時代を迎えています。大量償還がもたらす影響は、単なる償還原資の確保という点だけでなく、企業財務に関する様々な課題への対応を企業に迫ることになります。したがって、大量償還問題から発生する課題への対応の巧拙が、今後の企業経営を大きく左右するといっても過言ではないでしょう。

そこで今回は、まず大量償還の現状と社債市場の環境変化の分析を行い、つぎに大量償還に対する企業の施策の概要とメリット・デメリットを述べ、最後に大量償還に向けた財務機能の責務について解説します。


社債の大量償還の現状とその要因

(1)大量償還の現状

日本企業の国内普通社債、および転換社債の大量償還がすでに始まっています。2003年には10兆円弱、2004年には8兆円台半ばの償還が予定されており、この大量償還は2006年頃まで続くものとされています。

図1 日本企業の国内公募普通社債および国内公募転換社債の満期償還予定額

(2)大量償還の背景

これらの大量償還は、1998年前後の社債市場の大きな環境変化をうけた当時の大量起債が、満期を迎えることにその要因が求められます。

1997年秋の三洋証券、北海道拓殖銀行、山一證券の金融破綻から東食の破綻をうけて、社債市場は大混乱となりました。特に東食の破綻は、社債発行残高の多い総合商社セクターの社債取引が全く成立しない状態を生み出し、その結果として、社債市場全体に信用不安が広がりました。さらに1998年に入り、前年から引き続く金融システム不安、国債の格下げ議論、大倉商事や三田工業等の大型企業倒産等にロシア・ルーブルショックも加わり、クレジットイベントが相次ぐ中、社債市場の信用スプレッド(国債とのスプレッド)は拡大局面を迎えました。

このような環境下で企業は、金融システム不安への対応として、手元流動性を高める必要性を感じていました。そこにバブル期に発行した転換社債が未転換のまま償還を迎え、そのリファイナンス需要も重なり、 多くの企業が社債市場での直接調達を選好することとなりました。その結果として、上述のような環境であったにもかかわらず、高いコストを払って12兆円を超える起債が行われたのです。

その後、1999年になると、公的資金注入による金融システム不安の後退や株価上昇から信用不安が徐々に薄まり、起債額は減少し、さらに歴史的な低金利をうけて好需給が生み出され、2000年にかけて社債市場の信用スプレッドは、縮小化が急速に進みました。

図2 普通社債の発行額および償還額の推移

(3)経営課題としての認識

しかし、最近の債券市場の環境は、社債の債務不履行発生による信用格付けの更なる悪化や、経営難に陥った銀行が信用収縮を急激に行ったことに伴う債券市場参加者の警戒感の強まり等により再び悪化し、1998年前後とは比べ物にならない逆風の中で、大量償還を迎えることとなっています。このような厳しい環境の中では、償還原資の確保には相当の困難が予想され、企業の財務部門にはこれまで以上に重要な責務が求められていることと思います。

ここで重要なことは、今回の大量償還への対応は、単なる財務部門内の業務マターではなく、経営がストラテジーを組んで対処すべき課題であるということです。なぜなら、日本企業を取り巻く経営環境が激変しつつあるタイミング下での資金調達問題は、従来の枠組みを超えた、調達手法の多様化、キャッシュマネジメント、投融資管理、あるいは資本政策といった多岐にわたる経営課題に大きな影響を与える事象となるからです。

したがって企業の経営者は、大量償還という事象から発生する自社の課題を経営マターとして十分認識し、これに対処することが必要です。

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