
2001.10
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金融商品の全面時価評価−JWGドラフト基準の検討− Page2
JWGドラフト基準の位置付け
JWG参加メンバー
JWGが公表したJWGドラフト基準は、1997年10月から3年間にわたりJWGが進めてきた金融商品に関する会計基準の検討の成果です。JWGには、米、英、加、豪、仏、ノルウェー、ニュージーランド、日本及び国際会計基準委員会(IASC)の9カ国の会計基準設定主体及び職業会計士団体、並びに1機関のメンバーまたは推薦者が参加しており、我が国からは、日本公認会計士協会のメンバーが参加しています。
JWG参加メンバーは、経済のグローバル化、資本市場の世界的統合により、金融商品に関する取引の実態を適切に表現できる世界的な金融商品会計基準が早急に作成される必要があると認識していますが、JWG参加メンバーがドラフト基準の検討にあたり表明した意見は、原則として個人としての意見であり、メンバーの出身母体組織の正式な意向を反映したものではなく、各国における対応を規制するものでもありません。
JWGドラフト基準の位置付け
各国の会計基準設定主体は、今回のJWGドラフト基準を参考にして、それぞれのデュー・プロセスに従って金融商品に関する会計基準を設定するため、各国の環境条件に合わせ、合理性を持つものであれば、ある項目に修正が行われることが予定されています。しかし、JWG参加メンバーが、ほぼ合意した内容と大きくかけ離れた会計基準を設定するには、JWGの理論を覆すだけの経済実態や理論が必要であり、各国が行う修正はそれほど大きなものとはならないと想定されています。また、2001年4月からの国際会計基準審議会(IASB)の活動でJWGドラフト基準が検討され、IASBがその内容に同意するなら、IASとしての基準化が図られることになります。
JWGドラフト基準の基本的な考え方
公正価値による測定
JWGドラフト基準では、金融商品(特定の非公開会社に対する持分投資を除く)を取得当初及びその後の測定日(決算日)に原則として公正価値で測定し、その変動を損益計算書で認識するという考え方を採用しています。
公正価値には「入口価格」(資産であれば購入価格、負債であれば発行価格)と「出口価格」(資産であれば売却可能金額、負債であれば決済時の支払金額)がありますが、JWGドラフト基準では、資産・負債の定義との整合性及び測定結果のもたらす有用性から「出口価格」を公正価値として採用しました。ただし、この「出口価格」には、売却または決済に付随するコストは含まないとされております。
「公正価値」すなわち「出口価格」算定にあたっては、市場価格を基礎に算定することが原則とされており、市場価格が入手できない場合には評価技法を用いてこれを算定することとされています。さらに、市場価格が入手できる場合と、市場価格が入手できない場合とに分けて公正価値算定の具体的方針が述べられており、その概要は(表6)の通りです。
(表6)JWGドラフト基準 公正価値算定の具体的基準
市場価格が入手できる場合 |
市場価格が入手できない場合 |
高い
↑優先度↓
低い |
採用する市場価格の種類 |
考慮すべき要因 |
使用する評価技法 |
測定日(決算日等)における同一の金融商品の市場価格 |
そのまま利用 |
・ |
信頼できる公正価格見積りを提供することが立証されている市場参加者が一般的に使用する評価技法を採用 |
・ |
上記評価技法がない場合、独自の評価技法を開発し実際の取引価格を利用して検証を行う |
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近い市場価格日における同一の金融商品の市場価格 |
市場価格日と測定日間の時間の経過が市場価格に与える影響を加味する |
測定日(決算日等)における類似金融商品の市場価格 |
測定対象金融商品と類似金融商品のキャッシュフロー及びリスクの相違を定量化し公正価値に加味して算定 |
近い市場価格日における類似金融商品の市場価格 |
上記2要因を加味する |
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※ 市場価格には取引所、ディ−ラー(店頭市場)、ブローカー市場、プリンシパル(相対)市場で決定されるものがあります。
公正価値は、「独立第三者間で取引される公正な価格」と定義されており、市場価格が入手できても市場価格に通常の市場の相互作用以外の影響(取引当事者の一方の財政的困難や取引当事者間に他の取引や利害関係がある)があったり、金融商品に帰属しない価値の混入(将来キャッシュ・フローが期待される顧客との関係)がある場合等は特別な考慮を要するとされています。
また、市場価格が利用できない場合の公正価値の見積りにおける評価技法においては、時間価値(基礎金利またはリスクフリーレート)、信用リスク、外国為替レート等の市場情報を織り込む必要があるとされています。公正価値の評価技法として現在価値評価法を使用する場合には、予測キャッシュ・フロー、当該キャッシュ・フローの金額及び時期の変動可能性、時間価値(割引)を要素として織り込み、割引率調整アプローチまたはキャッシュ・フロー調整アプローチにより公正価値を算定することとされています。
ただし、評価技法に関する記述に関しては概括的な記述がなされているのみで、実務での適用可能性があるかどうかについては一部の関係者からは疑問の声があがっています。
JWGドラフト基準では、金融負債の公正価値評価に関しても記述がなされています。従来の公正価値評価の議論は主として資産を対象としておりましたが、負債にも資産と同様信用リスク等を考慮して公正価値を算定する試みが記述されています。信用リスクを負債に考慮する理由としては、資産とのバランスの観点、また上場社債等の市場価格には信用リスクが加味されており、公正価値評価としても当然それを考慮すべきこと等が述べられています。しかし、信用リスクの評価を負債に織り込むと、会社自身の信用リスクが増大する場合に負債の額が減少し純資産が増加することになり、一般的に理解されずらいこと、また、信用リスクが低下すると負債が増大し純資産が減少することになりますが、この純資産の減少見合いと考えられる無形資産(のれん)の計上は認められていないこと、などが金融負債の公正価値評価の問題点として指摘されています(図1参照)。
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