企業経営に関するトピック解説

2007.08
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株主資本の計数変動の会計処理

会社法において、株主資本間の計数の変動は、株主総会の決議や債権者保護手続を行うことにより、いつでもできることになりました。この株主資本の計数変動に関して、損益取引と資本取引の区分の原則の徹底により、一定の制約を設けているため、旧商法下と比較して、増資、減資および欠損てん補などの会計実務に変更点が生じています。本稿ではこれらの会計処理について、仕訳例を用いて解説します。

なお、本稿の意見にかかる部分は筆者の私見であることを、あらかじめお断りしておきます。


I.株主資本の計数変動の概要

旧商法では、定時株主総会においてのみしか認められない株主資本の計数の変動がありました。しかし、会社法においては、定時株主総会に限らず、いつでも株主総会で変動させることができるようになりました。これは、剰余金の分配が、いつでも原則として株主総会でできることになったこととの平仄を保つためのものと考えられます。ここでいう計数の変動とは、会社財産の流出や流入を伴わない株主資本の各項目間における変動と剰余金の項目内における振替のみをいい、株主への財産の交付を伴う場合は、剰余金の配当等の規定に従うことになります。

株主資本の計数変動に関して、会社法が規定する第一義的な目的は、株主と債権者との利害の調整、すなわち、会社財産の流出を伴う配当等に拘束がかかるかどうか(資本金・準備金or剰余金)と、拘束の程度が強くなるかどうか(資本金or準備金)、にあります。株主にとっては配当の分配を受ける観点から、剰余金、準備金、資本金の順番で充実しているほうが都合がよく、債権者にとっては資本充実の観点から、その逆が好ましいものといえます。したがって会社法は、計数の変動を行う場合は、計数の変動の内容に応じて株主と債権者の利害を調整するために、株主総会決議や債権者保護手続を定めています(図表1参照)。

図表1 ■株主資本の計数変動の手続

図表1 ■株主資本の計数変動の手続

>>図表1を拡大する

実務において、株主資本の計数変動のニーズには、一例として次のようなケースがあげられます。

  • 分配可能額の増額を意図するケース
  • 資本金や準備金による欠損てん補により早期の配当復活をめざすケース
  • 企業規模の拡大などに伴い、準備金や剰余金を資本金に組み入れることにより会社の財政的基盤を強化するケース
  • 企業再生のスキームとして、新たなスポンサーから資金調達と同時に減増資を行うケース

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