
2007.11.19
金融商品取引法に基づくディスクロージャー制度(1)−発行開示制度の改正の概要−
本年9月30日から施行された金融商品取引法において、旧証券取引法から改正された発行開示制度(ディスクロージャー制度)について、以下において説明します。
当該制度の概要は以下のように整理されます。
【非開示会社(注1)の場合】
有価証券届出書又は有価証券通知書の要否
区分 |
発行(売出し)価額の総額 |
1千万円以下 |
1千万円超〜1億円未満 |
1億円以上 |
募集(注2) 又は 売出し(注3) |
不要 |
有価証券通知書 (法第4条第5項)
【開示府令第4条通知書】 |
有価証券届出書
(法第4条第1項及び第2項) |
(注1) |
非開示会社 |
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上場、店頭登録していない会社(いわゆる未公開会社)、有価証券届出書又は有価証券報告書を提出していない会社
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(注2) |
募集 |
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i. |
新たに発行される第一項有価証券(株券、社債券等)を多数の者(50名以上)に勧誘する場合 |
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※ |
50名未満の勧誘であっても、6ヶ月間の通算により50名以上となる場合や、1億円未満の募集・売出しであっても、1年間の通算により1億円以上となる場合等は、有価証券届出書の提出が必要となります。 |
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ii. |
新たに発行される第二項有価証券(集団投資スキーム権利等)を相当程度多数の者(500名以上)が取得することとなる場合 |
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iii. |
法第2条の2第4項の特定組織再編成発行手続を行う場合
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(注3) |
売出し |
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i. |
既に発行された有価証券(株券、社債券等)を均一の条件で多数の者(50名以上)に勧誘する場合 |
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ii. |
既に発行された有価証券(集団投資スキーム権利等)を相当程度多数の者(500名以上)が買付けることとなる場合 |
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iii. |
法第2条の2第5項の特定組織再編成交付手続を行う場合 |
1.有価証券の募集の定義の改正
旧証券取引法における「有価証券の募集」の定義は、「新たに発行される有価証券の取得の申込みの勧誘のうち、多数のものとして50名以上の者を相手方として行うもの」とされています。
金融商品取引法では、有価証券を第一項有価証券と第二項有価証券とに区分し、
(1) |
第一項有価証券についての「募集」の定義は、基本的に従来と同様とし、 |
(2) |
第二項有価証券(集団投資スキーム権利等)(注4)についての「募集」の定義は、「その取得勧誘(=新たに発行される有価証券の取得の申込みの勧誘)のうち、その勧誘に応じることにより相当程度多数の者(政令で500名以上と定める)が当該有価証券を所有することとなるもの」 |
としています。
(注4) |
金融商品取引法では、投資性の強い金融商品・サービスに、すき間なく同等の規制を課す観点から、既存の利用者保護法制の対象となっていない「集団投資スキーム」(いわゆるファンド)に関する包括的な定義規定が設けられています。すなわち、組合契約、匿名組合契約、投資事業有限責任組合契約等にもとづく権利で、当該権利を有するものが出資または拠出をした金銭を充てて行う事業から生ずる権利の配当または当該出資対象事業に係る財産の分配を受けることができる権利(出資者全員が出資対象事業に関与する場合等を除く)(「集団投資スキーム持分」)、信託受益権および抵当証券等が、有価証券とされました。
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これに加えて、第一項有価証券に係る「有価証券の募集」の定義規定において、一定の要件を満たす場合に、「多数の者」から「適格機関投資家」を除く旨を規定しました。これは、
(1) |
勧誘する適格機関投資家が250名以下であり、 |
(2) |
当該適格機関投資家に対し、取得した当該有価証券を適格機関投資家以外の者に譲渡しない旨等を定めた譲渡契約を締結することを取得の条件として勧誘を行う場合に、当該勧誘者数から当該勧誘に係る適格機関投資家の数を除くこと
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としています。
2.有価証券の売出しの定義の改正
旧証券取引法における「有価証券の売出し」の定義は、「既に発行された有価証券の売付けの申込み又はその買付けの申込みの勧誘のうち、均一の条件で、多数の者として50以上の者を相手方として行うもの」とされています。
金融商品取引法では、「有価証券の募集」と同様、有価証券を第一項有価証券と第二項有価証券とに区分し、
(1) |
第一項有価証券についての「売出し」の定義は、基本的に従来と同様とし、 |
(2) |
第二項有価証券についての「売出し」の定義は、「その売付け勧誘等に応じることにより、相当程度多数の者(政令で500名以上と定める)が当該有価証券を所有することとなるもの」
|
としています。
3.継続開示義務の免除要件の範囲の拡大
金融商品取引法において、募集又は売出しに際して有価証券届出書を提出したことにより有価証券報告書の提出をしなければならない会社は、直近5事業年度のすべての末日における株券又は優先出資証券の所有者数が300名に満たない場合には、承認を受けることにより、当該提出義務の免除を受けることができることとなりました。
この規定は、施行日以後に到来する事業年度末日において、施行日前に終了した事業年度を含め、過去5事業年度の末日における株主数により判断することになります。当該規定は、各事業年度の末日において判断されるので、適用除外要件を満たす場合には、当該事業年度に係る有価証券報告書から提出の免除を受けることができることになります。
4.組織再編成に係る開示制度
組織再編成(合併、会社分割、株式交換等)による新株発行等にかかわる企業内容等開示制度が整備されました。
すなわち、組織再編成により、新たに有価証券が発行され、またはすでに発行された有価証券が交付される場合において、以下に該当する場合には当該有価証券の発行または交付に関し届出を行わなければならないものとされました。
- 当該組織再編成対象会社(吸収合併消滅会社、株式交換完全子会社等)の株主等が多数であって、かつ、
- 当該組織再編成対象会社が発行者である株券等に関して開示が行われており、かつ、
- 当該新たに発行され、または既に発行された有価証券に関して開示が行われていない
公認会計士 川村 英紀
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