株式公開(IPO)に関する情報

2007.09.03

最近の上場審査の動向−偽装請負(2)−

1.「所得」との関連

その業務実態が「請負」と認められる場合には、その所得は「事業所得」として、その業務実態が「労働者派遣」として看做される場合には、その所得は「給与所得」として判断されることとなります。




2.会計上の問題点等

「事業所得」か「給与所得」かにより、取り扱いが異なり、会計上も国税であれば、消費税及び源泉所得税に影響し、地方税であれば外形標準課税に影響することとなります。

「事業所得」か「給与所得」の違いによる取扱いは以下のとおりとなります。

所得種類

消費税

源泉の要否

外形標準課税

事業所得

課税

給与所得

不課税

報酬給与額に算入


「事業所得」ではなく、「給与所得」として認定された場合には、派遣元においては、当然に消費税の仕入税額控除の適用を受けられず、また、源泉所得税を徴収して納付する義務を負うこととなります。

消費税の仕入税額控除の適用が受けられない場合には、科目の修正等の決算の修正が必要となり、源泉所得税に関しては、源泉所得税の未納付というコンプライアンス上の問題が生じるだけではなく、一般的に個人事業主に対して源泉所得税を遡及して徴収することは困難であることから、結果として、企業側が負担することとなり、企業の損益に影響を与えることとなります。

外形標準課税の税額計算において、「請負」の場合は、課税標準はO円となります。労働者派遣法に基づく派遣を受けている場合には、派遣料の75%を報酬給与額に算入するとされております(地方税法第72条の15)が、派遣法によらない労働者派遣は請負等と看做されることになり、それが名目上の「請負」(いわゆる「偽装請負」)の場合には、その請負対価の100%が報酬給与額に算入されることにもなります。

以上のように、偽装請負は、「職業安定法」及び「労働者派遣法」に抵触する違法行為であり、株式公開審査においては、コンプライアンス上の重要な問題となるだけではなく、会計に与える影響も極めて大きいため、業務の実態に即して、労働者派遣契約に切り替えるか、適正な請負へ業務内容を変更する必要があります。



公認会計士 杉山 正樹

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