
2007.07.30
会社分割等企業再編を利用した株式上場
1. 会社分割等企業再編制度の整備と改正
平成9年の独占禁止法の改正による持株会社の原則解禁、及び商法改正による合併手続の合理化により始まり、平成11年の株式交換・株式移転制度の創設、平成12年の会社分割制度の創設およびこれに対応する平成13年の企業組織再編税制の導入があり、会計面でも平成15年の企業結合会計基準の公表により、企業再編のための諸制度は、ここ数年をかけて整備が進んできました。また、平成18年には会社法の導入があり、会社分割税制に更に変更が加えられました。
2. 上場審査上の留意点
こうした諸制度の整備の過程の中で、株式上場を目指す企業が成長戦略の一環として、あるいはグループ関係の整理や事業内容の再編において、企業再編の諸制度を利用するケースも従来に比して多く見られるようになってきました。
株式上場審査においては、新規上場申請者が最近1年間又は上場申請日の属する事業年度の初日以降において「重要な影響」が認められる合併、子会社化・非子会社化を行った場合に、「上場申請のための有価証券報告書(Iの部)」に添付資料として、次の財務計算に関する書類が必要になります(マザーズは除く)。
項目 |
必要書類 |
重要性 (各項目で20%以上ある場合) |
合併 |
(1) |
合併当事者に係る当該合併の直前事業年度及び連結会計年度の財務書類等 |
(2) |
合併当事会社の事業の概況、事業の状況及び設備の状況等を記載した当取引所所定の「上場申請のための被合併会社等の概要書」 |
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(1) |
総資産額の影響度 |
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(2) |
純資産の額、売上高及び利益の額の影響度も上記同様 |
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子会社化・ 非子会社化 |
(1) |
当該子会社に係る当該子会社化又は非子会社化の直前の事業年度及び連結会計年度の財務諸表等 |
(2) |
子会社化又は非子会社化に係る異動子会社の概況及び異動の理由等を記載した当取引所所定の「上場申請のための異動子会社に関する概要書」 |
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(1) |
総資産額の影響度 |
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(2) |
純資産の額、売上高及び利益の額の影響度も上記同様 |
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会社の分割
(新規上場申請者とその子会社又は新規上場申請者の子会社間の分割を除く) |
(1) |
分割により承継される事業に係る財務計算に関する書類(分割等の直前事業年度に係るものに限る。)なお、当該財務計算に関する書類は、取引所が定める「部門財務情報の作成基準」等に従って作成する。 |
(2) |
分割により承継される事業の概況及び分割の理由等を記載した当取引所所定の「上場申請のための会社分割概要書」 |
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(1) |
総資産額の影響度 |
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(2) |
純資産の額、売上高及び利益の額の影響度も上記同様 |
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事業の譲受け 又は譲渡
(新規上場申請者とその子会社又は新規上場申請者の子会社間の事業の譲受け又は譲渡を除く) |
(1) |
譲受け又は譲渡の対象となる部門に係る財務計算に関する書類(譲受け又は譲渡を行った事業年度の直前事業年度のものに限る。)この場合において、当該財務計算に関する書類は、当取引所が定める「部門財務情報の作成基準」等に従って作成する。 |
(2) |
譲受け又は譲渡に係る事業の概況、譲受け又は譲渡の理由及び譲受け又は譲渡の対価等を記載した当取引所所定の「上場申請のための事業の譲受け(又は譲渡)概要書」 |
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(1) |
総資産額の影響度 |
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(2) |
純資産の額、売上高及び利益の額の影響度も上記同様 |
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(注1) |
いずれの場合でも連結財務諸表を作成すべき会社でない場合及び連結財務諸表を作成することが著しく困難であると認められる場合には、連結財務諸表を除くものとし、法の規定に従って財務諸表等を作成することが著しく困難と認められる場合は、会社法の規定に従って作成された貸借対照表、損益計算書とすることができる。 |
(注2) |
取引所は、新規上場申請者が取引所に提出するために作成した上記の財務計算に関する書類について、一定の信頼性を付与することを目的として、公認会計士又は監査法人が非合併会社等の財務諸表等についての意見を求めている点に留意する。また、取引所は、一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠した監査による意見表明の場合に比して限定的な保証を与えるための意見表明に係る基準をそれぞれ定めている。 |
3.会社分割に関する上場審査上の留意点
新設分割で分割により新会社を設立した場合、その親会社となる分割会社は原則として上場会社もしくは継続開示会社であることが求められます。また、新会社の上場は分割会社から見ると子会社株式上場となりますので、その子会社株式上場に関しては親会社等からの独立性や事業基盤の安定性等について十分な審査が行われることになります。JASDAQの上場審査の場合は、親会社等が非上場会社もしくは非継続開示会社であっても、親会社からの独立性を確保している等一定の要件のもとに上場が認められる場合もあります。
公認会計士 大石 美枝
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