
2006.12.18
新会社法と公開準備会社の留意点(3)−会計参与と上場審査の取扱い−
前回は、会計参与制度を中心に解説しましたが、今回は上場審査における取扱いを中心に解説したいと思います。
1.会計参与制度を利用した場合の上場審査における留意点
上場審査においては、会社のディスクローズ体制が審査対象として重要なポイントとなっています。
社内のディスクロージャー体制に求められることとしては、以下が挙げられます。
(1) |
社内に経理の責任者がいて、各経理業務についての責任と権限の範囲が明確になっていること |
(2) |
適時に正確な四半期開示を行うに耐えうるディスクロージャー体制(管理上は月次の連結決算体制が必須) |
(3) |
財務会計のみでなく、予算実績分析や原価管理などの管理会計の機能が徹底していること |
(4) |
インサイダー情報の管理ができる体制にあること |
株式上場にあたっては、ディスクロージャーに関する内部管理体制の前提として、開示担当取締役の存在が不可欠となります。仮に会計参与が存在する場合でも、その職務は開示担当取締役の補佐的役割と考えられます。
会計参与は内部機関ではあるものの、会社内部者とは独立の立場にある第三者としての外部の専門家です。このため、ディスクロージャー関係の職務を会計参与に任せきりにしてしまうと、社内で行うべきディスクロージャーのための職務が内製化されていないとの指摘があり得る点に留意しておく必要があります。
また上記のように経理の主たる責任と権限は内製化されている必要があるため、結果として株式上場が現実に目前に迫ってくる頃には、会計参与の存在意義が薄れてくるものと思われます。
2.会計参与の選任にあたっての留意点
最後に、会計参与の選任にあたり顧問税理士との役割の違いや兼任の可否についてふれておきたいと思います。
会社の顧問税理士は、あくまで顧問契約であり、会社と雇用契約を締結している訳ではありませんので、兼務することは会社法上禁止されておりません。ただし、顧問税理士は会社外部から経営者に対し、会社の利益のために節税も企図した税務全般に関する助言を行う立場であるのに対して、会計参与は、株主や債権者の利益を念頭に、取締役・執行役と共同して正確な計算書類を作成し、会社内部の機関として経営者と連帯して責任を負う立場にあります。したがって、同一人が兼務することは難しい面がでてくると思われます。
株式上場審査においては、会社関係者のそれぞれの役割・責任に関する説明が求められますので、兼務がなされている場合には上場にあたっての支障になりかねません。同一の税理士事務所や税理士法人で異なる担当者を置いたとしても、兼務による弊害が解消されていると外見的には判断できないことから、説明が困難になると考えられます。
会計参与と顧問税理士の比較
| |
会計参与 |
顧問税理士 |
契約形態 |
委任契約 |
顧問契約 |
任期 |
原則、選任後2年以内に終了する事業年度の株主総会日まで
但し、非公開会社では定款の定めにより任期を10年まで延長できる |
当事者の合意により自由 |
立場 |
会社内部機関 |
外部者 |
目的
(恩恵を受ける者) |
会社株主・債権者など
(計算書類に関する信頼を得ることで間接的に会社自身) |
会社自身 |
会社から求められること |
正確な計算書類の作成
計算書類に関する報告・説明 |
会社における税務上の助言
特に納税額を抑えることを前提に適正な税務申告書の作成 |
公認会計士 越島 裕二
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